#36 一歩小さく踏み出すこと、表現すること、課題と向き合うこと
この春にクニラボWebサイトを大改造し、ブログ系の記事を独立させたPeople Analytics Idea HUBをローンチした。STUDIOで構築していたラボの技術ブログと、the Letterで発信していたニュースレターを統合したものだ。
この統合については、前々から課題に感じていたものの、忙しさにかまけて手を付けていなかった。
ブログ記事が100本を超え、STUDIOのJavaScript系の処理では描写が追い付かなくなっていた。いろいろと改善していたものの、自分でも見るのがつらくなるほどのウエイトが発生し、重い腰を上げることにした。
とはいえ、一からサイトを立ち上げるのはいろいろと面倒で、2-3日うじうじと悩んでいた。
STUDIOはデザインはよいのだが、CMSに含まれる記事を一括でエクスポートすることができない。手作業の大変さを思うと気が重くなった。さらに、移行先のサービスはヘッドレスCMSのGhostと決めていたのだが、日本語での情報は皆無で、体験記などもほとんどない状態。
こんな風にどんよりした年度末を迎える中で、「やるならさっさとやったほうがいい」と腹をくくり作業を開始した。
まずGhostに課金し、気に入ったテーマを選ぶ。そして、移行したらどんな感じにするだろう、と想像しながら手を動かす。つまり、青写真をプロトタイプとして表現していく。
こうすることで、イメージができ、最終的にはゴールに到達するはず――こう思いながらはじめてみると、思惑通り進んでいった。このアプローチは、実は独立を決意したときにもやっていたことだった。
当時はクニラボのドメインを買ってGoogle Workspaceを契約し、アメーバオウンドで個人サイトを作った。そして、Excelで収益のシミュレーションを行い、名刺を作ることで腹をくくったのだった。
薄々やりたいと思うのだったら、一歩踏み出す。そうすれば、たいていのことは進んで行くものだ。
実際、今回もやり始めてみれば勢いがついてきて、いつの間にか移行が終わっていた。
ところで、プロンプトをLLMに渡せばあっという間にコーポレートサイトのLPができてしまう今日において、なぜコストと時間をかけてサイトを作るのだろう?
それは、自分のアイデアを、自分の考える形で表現できる場所だからである。
自分のサイトを通してアイデアを形作り、世の中にそっと流す。それはささやかではあるが、私にとって大切な場所だ。
それがクライアントの課題解決に少しでも役立つのであれば、それは社会のニーズとつながる接点となり、やがて仕事につながるだろう。もし、ニーズと合わないのであれば仕事は来ない。そうなければ道を変えるだけだ。
ここでいう、仕事が来る・来ないという話は、直接的なものではない。「こういうサイトを運用して情報発信している武田さん」という認知があれば十分だと考えている。
それは、とても小さなものかもしれない。しかし、勤め先の看板も、自分の法人も持たぬ私にとって貴重なものだ。独立事業者は自分で自分が誰なのかを示さなければ、誰からも声はかからないのだから。
そして、自分を示す手段として、自分が自然な形で楽しんでやれることの一つがWebサイトだったというだけの話なのだ。
伴走支援の現場経験やニュースソースを読んでふっと浮かんだ着想をまとめるのに、ちょっとした文章を作るというのがちょうどよい。書きながら考えがまとまるし、アイデアもわいてくる。この記事だってそうだ。
あれほど国語の時間が嫌いだったのに、大人になって多くの文章を嬉々として書いているなんて想像できなかった。不思議なものだと思う。
逆に言えば、自分に合わない方法で表現してもきっとうまくいかないだろう。それは人によって変わるはずだ。
もう一歩引いて考えてみると、個人事業をしていること自体が自己表現であり、アイデアを作り上げる場所になっている気がする。
それは、世界を救ったり、世間を驚かせるようなものではないだろう。
しかし、それが自分の半径5メートル以内で出会った課題を解決することにつながるのであれば、やりがいをもって取り組むことができる。