#30 ひとりビジネスの秘訣
8月某日。雲の上の人だと思っていた方に誘われてとある懇親会に参加した。自分だけ場違いな感じだなと思いつつも、会社員だったらこうした方々とお話することもなかっただろうと素直に楽しんだ。
そして、たまたま隣に座った方から新しいプロジェクトの相談を受けた。この方も自分が携わっている業界では著名な方で、それこそ直接お話できるとは思っていなかったような方だ。普段は海外に在住されていて、たまたま帰国されていた時期だったのだ。
この新しいプロジェクトは、おそらく自分の力量を超えるものになるだろう。しかし、やりたいと思っていた仕事だったのでぜひやりましょう、やらせてくださいとお話した。
このプロジェクトがどう転ぶかは分からない。すぐに始まるかもしれないし、しばらく経ってから急ぎの依頼として立ち上がるかもしれない。もちろん、ペンディングということもあり得る。
それでも、「声をかけていただいた」ことが胸にズンと響いた。本当にありがたいと思ったし、独立した2年前には考えられなかったことだった。
懇親会からの帰り電車の中。2年前と今の間で起きたことを振り返りながら、「何がポイントだったのだろう」と考えてみた。
そこで考えながらメモをしたことをここに残す。
不格好でもいいから引き受けた仕事に自分の持てる力を誠実に注ぎ込む。これが独立コンサルタント、あるいはひとりビジネスの秘訣かなと思った。
数を打たないとどれがモノになるか分からないけど、だからといって適当にやったのでは試すことにもならない。
その仕事が自分の力量を超えていたとしても、引き受けたからには最善を尽くす。
不格好だからといって引け目に感じてはいけない。取るに足らない自分のプライドではなく、成果に目を向けるべきだから。
慣れない環境に足を止めてもいけない。失敗を恐れて足踏みしてもどこにもたどり着かないのだから。
そうして頑張っていると徐々にビジネスが上向く、ということは決してない。しばらくは同じ状態が続いていく。
頑張ってるように感じるのに変わらない日々に焦りを覚えはじめる。これが現実だ。
こうした生活を何ヶ月も続けていると、自分が空回りしているように感じてくる。ワクワクしながら作った売上管理表も一向に増えない。まるで人一人いない大海原でポツンと泳いでるような気持ち。
しかし、ここで仕事に対する誠実さを手放してはいけない。自分でも気づかないうちに点と点がつながり始めているかもしれないのだから。
その兆しは小さなシグナルとなって現れる。
例えば、半年前にお話した方から雑談めいた相談が入る。あるいは、会社員時代では考えられないような有力なコミュニティに入り込んでいるというようなことだ。
もちろん、こうした活動はすぐに売上に繋がるわけではないけれども、その時間は大切にすべきだ。
ただし、そのシグナルの発信源が自分のビジネスにとってインパクトがあるものでれば、という条件がつく。それを判断する責任を引き受けるのも自分。
そうしていると、いつの間にか雲の上の存在に感じていた人と仕事の話をしていることに気づく。
そして、自分のスキルや経験を活かせる仕事でありながら、今の自分では「少し」リスクがある仕事がやってくる。ここが正念場だ。
こうした仕事を掴めるかどうか、もしくは複数あるカードのどれを掴むのかによってその後の道が変わってくる。あるカードを手放した瞬間に別のカードがやってくるということもある。
こうした変化や機会に恐れることなくダイブし、やりたいことを試していく。そうすることで機会が機会を呼ぶようになる。
これが私のようなひとりビジネス、独立コンサルタントの秘訣ではないだろうか。
ただし、この秘訣をどの分野でどう実行するかという意思は本人が持たなくてはならない。簡単にいうと「自分がどうしたいのか」という一点につきる。
目の前の仕事にどれほど力を注ぐのか、どの仕事のカードを選ぶのか、また変化をどの程度受け入れるのかなどすべて一人で決断しなくてはならない。
その判断は常に「誰に何を提供し、そのクライアントにどうなって欲しいのか」という問いに行きつく。
この問いの答えは人によって異なるはずで、そこにバタフライたる個人コンサルタントの生きる道があるのだろう。