#28 揺れ動く地図なき旅
先日noteにこんな記事を書いた。独立のリアルを地図なき旅に例えた記事で、はじめての有料noteでもある。
地図なき旅を楽しめるか? ― ひとりビジネスのリアルと可能性|武田邦敬|Kunihiro TAKEDA
このnoteは、はじめはココ(しずかなインターネット)に書いていたのだが、なんとなくnote向きかなと思ってnoteに移して書いてみたものだ。マーケットテスト的意味合いもあったけど、それは副二次的なもの。
とはいえ、noteに書くとどうしても小ぎれいになってしまう。例によって、ココで本音にアクセスしてみたい。
さて、件のnoteには、ひとりビジネスは自由と不安が入り混じる中で、売上に至る地図を自分で作らなければならないと書いた。これは王道であるし、今もその難しさと向き合っている。note後半では、地図を描くための処方箋を整理している。
逆にいうと、ひとりビジネスを軌道に乗せるポイントは、自分自身で売上に至る地図を工夫しながら作るということだ。
ビジネスで地図を作る上で重要なのは「顧客課題」だろう。マーケティング的にいうとニーズということになる。
しかし、このnoteに書いていないことがあった。それは、
「どう考えても売り上げにつながるとは思えないが、個人的に関心があることやライフワーク的なものを地図に載せるかどうか」
という命題である。まさに、ここ1週間ほどこの命題に足を取られている。
こうした悩みはきまって仕事と仕事の間に生じるもので、今回は成城大学の担当講義がひと段落ついたことに起因している。
ここから1か月半の間、仕事があまりはいっていないので、いろいろと考えたり勉強したりできるチャンスがある。こうした目の前に出現した余白というのはワクワクするもので、自分の場合はたいてい事業に関する何かを模索するか個人的研究にいそしむことになる。こうした行動は会社員時代からあまり変わっていない。
しかし、余白の使い方が会社員時代と今でさほど変わらなかったとしても、その意味合いは大きく異なっている。会社員時代のそれは独立に対する葛藤だったり試みだったりしたわけだが、今はライフワークそのものになるからだ。
つまり、今現在における余白の試みや楽しみというのは、ひとりビジネスの地図を作ることに他ならないのである。これを自分自身で自覚しているがゆえに、僅かな緊張感が漂うことになる。
私はもともと私生活とビジネスの境界線があいまいだったのだけど、それが消失してしまった感じだ。それはそれで理想的ではある。
これもひとりビジネスの特徴の一つではないだろうか。
さて、この余白を活かす方法はいくらでも考えることができるし、唯一の正解というものはない。
今の段階で思いついているアイデアをざっと挙げてみると次のようなものになり、実にとりとめがない。
- 前から興味がある資格試験にチャレンジする。
- 企業文化・組織文化の本と格闘する。
- ずっと読めていないキュロスの教育にかじりつく。
- いろいろな人と話す。
- 動画コンテンツを作ってみる。
- テンソル分解の応用を試す。
- 本を書く。
- 博士取得を検討する。
こうしたリストは決まって最後の方に本音がでてくるものだ。今回も同様で、博士の話は興味があるがかなり迷っている。
なぜ博士の話がでてきたかというと、ここ1か月ほどで3名の方から勧められたからだ。
研究所時代に検討したことはあったのだけど、アカデミック向きじゃないよなと思い、目をそらしてきた。実際、関連研究のリサーチから始まる学術的なロジックの積み上げは得意でなく、それよりも社会実装の方が楽しく感じるたちだ。
それでも時折「自分テーマを研究したい」という願望が生まれることもあり、独立後に経済的余裕があれば博士課程に入ろうかと思ったこともあった。しかし、事業が軌道に乗る前に学術領域に寄り道する勇気もなく、今に至っている。
そんな調子であったにもかかわらず、ご縁があり成城大学の非常勤講師と早稲田大学の招聘研究員の活動をさせていただいている。これは思ってもみなかったことで、ありがたい話である。
今は実務家教員として活動しているわけだが、今の専門分野において「研究」と呼べる成果を上げることはできていない。今後キャリアの可能性を広げるとき、一度研究に漬かってみるというもありではないか――。
そんなことが頭にちらっと浮かんできたタイミングで3名の方から博士を勧められたわけである。これは何かの啓示かもしれないし、気のせいかもしれない。
そんなわけで余白の第一候補に博士というキーワードが鎮座したのである。しかし、おいそれとやります!というわけにもいかず、ここ1週間ほど考え続けている。
こうした迷いというのは、会社員の方が決断しやすいように感じる。端的に言うと、安定的なベースのサラリーがあるとないのでは大違いだからだ。
余白の使い方は自由だ。売上を伸ばす活動に全振りするのか、それとも将来に備えるのか、あるいは博士のように自分を広げる可能性があるがどうなるかわからない活動をするのか。それを決めるのは自分自身である。
結局のところ、こうしたことは独立の決断と同じで、どこにダイブするか腹をくくるだけだ。
こうしたことも地図の載せることができるのもひとりビジネスの楽しみでもあり、悩みでもある。